昨年は節目の10回目でした。記念イベントの一つとして、東日本大震災以降製作してきた「祈りのFriendshipキルト・オレンジのたすき・鎌倉大仏奉納の儀」を行ないました。これは10センチ四方の布にメッセージを書いていただき1枚170cm×90cmのFriendshipキルトを10枚作りあげ、それをつないで大仏サイズのたすきを仕立て、大仏(高徳院)に奉納するというものでした。また10周年を機に、全国各地で行なわれているたすきリレーの全国組織として、オレンジリボンたすきリレー全国ネットワークをたちあげました。10年の節目として、このような大きな事業を行うことができたのは、この運動に理解、賛同していただいた多くの方々の協力の賜物と思っています。東京都、神奈川県、横浜市をはじめ、様々な団体、機関の皆様に改めて心から感謝いたします。
さて、10年の節目を越えた今年は、これからの10年をどうしていくかを考える年となりました。思えば数人の有志が集まって実行委員会を立ち上げ、非力の中で第1回をなんとか実施したことを覚えています。その後、回を重ねる中で少しずつ力をつけていきました。こうして10年を越えることができたのですが、その一方で、良くも悪くも「慣れ」が生じてきたことも事実です。「慣れ」の良い面としては、年毎に段取りがこなれ、運営は以前よりもずっとし易くなった点ですが、悪い方としては、心の中に「惰性」が淀んでくることです。委員会のムードも、初期の頃にあった、熱すぎるほどの情熱は、さすがに薄らいできたのが正直なところです。しかし惰性のままではいけません。これから新たな10年を展望したときに、惰性の気持ちのままスタートを切っても、どこかで沈没してしまうでしょう。こうして11回目を迎えた今年のテーマは、「もう一度初心に戻って、新たな意気込みで再スタートを切れるか」となりました。
幸か不幸か、この活動を根本的に見直さざるを得ない事態が発生しました。いままでこの活動を支える有力な財源となっていた機関からの助成が打ち切りになったのです。約50万円予算を削減しなければならない状況となったのです。このため、ゴールや中継所のイベント会場を中心に、ブースの数やステージ上のプログラムを見直し、音響システム、司会の体制など、削減できるところを削減し、お金をかけない形で工夫せざるを得なくなりました。キャンペーン&ゴール会場については、これまで年毎にブースの内容が充実し、来場者も増え、盛大な啓発活動ができるようになっていました。しかしこの事態を迎え、多くの削減が余儀なくなったことでの見劣りは必至の予感で、それを補うための工夫が果たしてできるのかはとても不安になりました。
結果、ブース数は例年の3分の2としながらも、一つひとつのブース内容の充実をはかること、ステージのプログラムは例年の半分以下として、各コースのランナーとの実況中継や、ブースとステージとを結び付けた演出をはかって、活動全体の一体化をはかる事で、会場全体の賑わいを保つことを考えました。当日キャンペーンメイン会場の司会は、例年はプロの司会者にお願いしていたのですが、実行委員長自ら司会をして、場を盛り上げようと決心しました。素人が進行役を担うことも不安の一つでしたが、全体の状況が良くわかっていることが功を奏して、メインキャンペーン会場内ばかりではなく、各コースとの連動も図れ、参加している場所は違えど、オレンジリボンたすきリレーの全体時間軸が一体化され効果的な演出で展開できたのではないか?と、会場皆さんの歓喜の笑顔に、手応えを感じました。
また、このたすきリレーは、11月の児童虐待防止推進月間を目前に控えた10月の最終日曜日に、推進月間のこけら落し的意味を含めて行なってきましたが、当日が横浜マラソンと重なったことで、ランナーの走行に支障が生じることを避け、11月の第2週の日曜日に当たる12日を開催日としました。その分日の入り時間が早くなることや、一段と寒くなって、ランナーの負担になるのではないかの心配もありました。しかし児童虐待防止推進月間に行なったことで、NHKをはじめとする多くの報道機関から取材を受けニュースで扱っていただけました。このことも吉に転じた大きなポイントといえます。
このたすきリレーは、全5箇所のスタート地点から横浜市の山下公園をゴールとする3つのコース(都心・川崎コース、湘南コース、鎌倉・三浦・横須賀コース)で構成されています。都心コースは、東京都渋谷ハチ公前からと昨年から新設された川崎市にある児童養護施設の白山愛児園からのコースが、川崎のユースキン製薬(株)で合流し、ゴールに向かいます。湘南コースは神奈川県二ノ宮町の生涯学習センターラディアンから平塚市、茅ヶ崎市、藤沢市、横浜市戸塚区、港南区を経てゴールに向かいます。鎌倉・三浦・横須賀コースは、鎌倉市高徳院からのコースと三浦市マホロバマインズからのコースが横須賀中央駅広場で合流し、横浜市金沢区、磯子区を経てゴールに向かいます。
当日の天気は、予報では曇りでしたが、今年は夏が短く、寒くなるのが早かった年となり、この日も厳しい冷え込みが予想されていました。しかし当日は見事な青空が広がり、朝は確かに冷えましたが、昼ごろにはぽかぽかと暖かく、ランナーにとってはむしろ熱さを感じるほどになりました。
晴天の下、各コースのランナーたちは元気に走行し、たすきをつなぎました。湘南コースは例年、児童養護施設心泉学園からスタートしていましたが、今年は心機一転、二ノ宮町生涯学習センターラディアンからスタートし、スタート後は神奈川県里親会を中心に啓発キャンペーンが盛大に行なわれました。また昨年同様、大磯警察署の白バイの先導でスタートし、第2区の大磯警察の管轄区の最終地点まで先導していただきました。白バイ先導は安全面でもとても安心ですし、正月の箱根駅伝の光景を髣髴とさせる、とても素敵な走行となりました。
都心コースのスタート地点である渋谷の忠犬ハチ公像前でも、大勢の人たちが集まり、たすきリレーのスタートを応援してくれました。中継所の東京タワー、品川児童相談所、大田区産業プラザでは、ミュージシャンによるミュージックリレーなど大規模な啓発キャンペーンが行なわれました。都心コースのもう一つのスタート地点である川崎市麻生区にある白山愛児園では、オレンジリボンをかたどったバルーンアートに見送られ、にぎやかなスタートが切られました。中継点である川崎市社会福祉協議会近くのJR武蔵中原駅周辺、川崎コース5区走行ルート上のJR鹿島田駅周辺、都心コースとの合流地点であるユースキン製薬(株)周辺の3ヶ所では、児童虐待防止啓発グッズを一般市民に配布するなど、大勢の人が集まる啓発活動が行なわれました。
鎌倉・三浦・横須賀コースのスタートは、恒例となっている高徳院(鎌倉大仏)からのスタートです。大仏に祈りをささげ、身も心も清められてのスタートです。スタート後の高徳院では、鎌倉市と鎌倉女子大の学生らによる啓発キャンペーンが行われました。
参加するランナーは、今年も500名を超え、延べ639名のランナーが参加されました。児童福祉施設や児童相談所の関係者に加え、学校の先生、警察署の方、保育士、一般企業の方など幅広い領域からランナーが集まりました。ランナーが特定の領域の職種に留まることなく、様々な方面の方々が参加されました。このことは啓発を目的とした活動において非常に重要です。参加された他領域の方々が、児童虐待問題を日常の話題にしていただけることで、啓発の輪が広がっていくのです。参加されたランナーの皆さんに心から感謝すると同時に、どうぞたくさん話題にしてください。
ゴール地点でもある山下公園では、午前11時から子ども虐待防止啓発のためのキャンペーンイベントが開催されました。ブース展示数は昨年より減った(全11ブース)ものの、内容はとても充実していました。子どもの遊び場をメインとしたことで、多くの親子が参加され、児童虐待防止のことを知っていただけたように思います。
また会場では、ランナーの進行状況を示すコースボードを設置し、音声による実況中継を頻繁に行ないました。各コースの状況、ランナーの様子がリアルタイムで伝えられたことで、各コースのランナーと会場との一体感が演出できました。また各ブースの主催者の方々にインタビューを行い、活動内容をアピールしていただきました。このことで来場された方々にも内容が理解され、参加し易くなりました。ブース同士の一体感も生れました。神奈川県のブースでは、剣玉名人が登場し、子ども達に技術を伝授され、人気を博していました。
会場では、神奈川県や横浜市のゆるキャラ「かながわキンタロウ」や「キャッピー」が、愛嬌を振りまき、ネリマックスの怪人たちが敷地内を練って歩き、パントマイマーの皆さんがバルーンオブジェを作っては配るなど、会場全体が明るいムードで包まれました。
会場の運営に当たっては、多くのボランティアがその力となってくださいました。特に、昨年から横浜保育福祉専門学校の学生が、会場設営からチラシの配布など、学校を挙げて啓発活動に協力してくださっています。このことは大きな力となりました。若い力は元気なエネルギーとなって会場のムードを明るくもしてくれました。2万部ほど用意したチラシやグッズはほとんどなくなる盛況振りでした。学生の皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。
11回目を迎えるに当たって、予算削減などもあって、例年通りにできないのではないかと懸念しましたが、実況中継など新たな取り組みが思った以上の効果をもたらし、昨年と比べて全く見劣りすることなく、盛大にイベントを行なうことができました。むしろ、会場全体に今までにない一体感が生れたような気がします。皆さんの努力と工夫の賜物です。心から感謝いたします。
ステージ上でのパントマイムショーが終わる頃、湘南コースがやや遅れたものの、3つのコースは、予定時間の10分過ぎには山下公園の西口に到着しました。100名ほどのランナーが笑顔で集まっています。最後は3つのコースが一緒になって、約300メートル先にある石のステージ前のゴールを目指します。いよいよ最後のランです。公園内の海側の道と内陸側の道の二手に分かれて、公園に訪れた方々の声援に笑顔で応えながらゴールに向かいます。石のステージ前では、川﨑大会会長と横浜市青少年局・細野子ども福祉保健部長が持つ、約20メートルのゴールテープが待っています。
テープ前に約100名のランナーが集まり、「ゴール!!」の掛け声とともに一斉にテープを切りました。たくさんの人たちの声援を受けてのゴールです。11回目を迎えた今回のゴールも、これまでと変わらない笑顔満面のゴールでした。この笑顔がこの先10年後も続いていくのだろうと確信しました。
ゴールセレモニーでは、各コースの代表ランナーに川﨑大会会長から完走賞が渡されました。この後開催が予定されている鳥取県西部地区の代表の方に私たちのたすきが手渡されました。また新たに新潟県でも開催される予定であることが告げられました。年毎にたすきリレーの開催地域が増え、全国に広がっていっています。この流れが止まらぬよう、これからも頑張らなければ、の思いを強くしました。子ども虐待防止と子どもの明るい未来を願う思いは、たすきを通してますます広がっていくのです。
まず、たすきを身につけて走っていただいたランナーの皆様に感謝申し上げます。
次の方々には財政面での支援をしていただきました(敬称略)。(公財)資生堂社会福祉事業財団、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク、(一社)東京キワニスクラブ、(公財)神奈川新聞厚生文化事業団、神奈川県生命保険協会、ユースキン製薬(株)、サッポロホールディングス(株)、ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株)、湘南信用金庫、かながわ信用金庫、神奈川県保険医協会、(株)ガリバー、用賀カイト、(有)東京仁藤商店、川崎リバティライオンズクラブ、その他の団体。心より感謝申し上げます。また、当日、山下公園で募金くださった方々、ありがとうございました。なお、今年度はNPO法人児童虐待防止全国ネットワークと共催で開催しました。
次にあげさせていただく後援の機関、団体の方々からは、大きなご支援をいただきました(敬称略)。厚生労働省、東京都、神奈川県、神奈川県警察、横浜市、川崎市、大田区、渋谷区、品川区、鎌倉市、茅ヶ崎市、平塚市、藤沢市、三浦市、逗子市、横須賀市、大磯町、二宮町、葉山町、栃木県小山市、全国児童相談所長会、神奈川県教育委員会、東京都社会福祉協議会児童部会、神奈川県社会福祉協議会、神奈川県児童福祉施設協議会、神奈川県母子生活支援施設協議会、神奈川県保険医協会、川崎市社会福祉協議会、(株)資生堂、(一社)東京キワニスクラブ、鎌倉高徳院、(公財)神奈川新聞厚生文化事業団、(一社)横浜市ファミリーホーム連絡協議会、川崎市あゆみの会、その他の団体。大変ありがとうございました。
スタートや中継所、ランナーのサポート等にご協力をいただきました(敬称略)。東京都児童相談センター、品川児童相談所、東京都社会福祉協議会児童部会、(公財)大田区産業振興協会、大田区子ども家庭支援センター、大田区民生委員児童委員協議会、品川区民生委員児童委員協議会、渋谷区子ども家庭支援センター、渋谷区観光協会、渋谷区商店会連合会中央ブロック、(株)東急百貨店東横店、渋谷忠犬ハチ公銅像維持会、渋谷ピアネット、東京タワー、港区子ども家庭支援センター、神奈川県立こども医療センター、(協組)伊勢佐木町商店街、イセザキ・モール1・2St.、鶴見区社会福祉協議会、横浜市中央児童相談所、磯子センター、金沢区・磯子区・戸塚区・港南区民生委員児童委員協議会、横浜市港南中央地域ケアプラザ、永野連合町内会、西横浜国際総合病院、セブン-イレブン横浜浦島町店、セブン-イレブン横浜片吹店、川崎市社会福祉協議会、川崎市こども家庭センター、川崎市あゆみの会、ユースキン製薬(株) 、白山愛児園、川崎愛児園、新日本学園、しゃんぐりらベビーホーム、鎌倉高徳院、鎌倉女子大学、鎌倉女子大学短期大学部、鶴岡八幡宮、鎌倉児童ホーム、鎌倉力車(株)、鎌倉YMCA、彩樹園、幸保愛児園、(株)京急ストア葉山店、葉山町商工会、ホテルマホロバマインズ三浦、久里浜商店会(協組)、team黒船、サンビーチ追浜、横須賀市児童相談所、しらかば子どもの家、しらかばベビーホーム、春光学園、三浦しらとり園、神奈川県立茅ヶ崎高等学校、エリザベスサンダースホーム、二宮町生涯学習センターラディアン、心泉学園、平塚馬入ふれあい公園、(特非)湘南ベルマーレスポーツクラブ、遊行寺、心から感謝申し上げます。
さらに次にあげさせていただく方々には、ゴール会場や中継地点で啓発活動にご協力いただきました。神奈川県、横浜市こども青少年局、子どもの虹情報研修センター、横浜市民生委員児童委員協議会、横浜市主任児童委員連絡会、(公財)資生堂社会福祉事業財団、全国児童家庭支援センター協議会、ユースキン製薬(株)、カンガルーOYAMA、おおいそ学園、(一社)こどもみらい横浜(里親会)、(特非)CROP.-MINORI、(特非)子どもセンターてんぽ、神奈川県保険医協会、高田馬場・ジェットロボット、ネリマックスとその仲間たち、栗原さんをはじめとするパントマイマーの皆様、坂本博之さん、安東たか子さん、(特非)全国福祉未来ネットワーク、鎌倉市役所、横須賀市役所、明治大学、関東学院大学、横浜保育福祉専門学校、(株)北野書店、かしまだ駅前通商店街、有志ボランィアの方、心より感謝申し上げます。